「神経」と聞くと不安になる方へ
~「神経」と「精神」は別のものです~
患者さんとお話をしていると、「それは神経からきていますね」と説明した際に、不安そうな表情をされることがあります。
その理由の一つに、「神経」と「精神」を混同してしまっているケースがあるようです。
実は、医療でいう「神経」には大きく分けていくつかの意味があります。
例えば、首や腰から手足へ伸びる神経は、脳からの命令や感覚を伝える“電線”のような役割をしています。この神経が圧迫されたり刺激を受けたりすると、痛みやしびれが生じることがあります。これが一般的に「神経痛」と呼ばれるものです。
一方で、「精神的な問題」や「気の持ちよう」という話とは全く別です。
「神経からきています」と言われると、「気にしすぎということですか?」「ストレスのせいですか?」と受け取る方もいますが、「神経痛」は実際に神経が刺激を受けることで起こる身体の症状です。
決して気のせいではありません。
また、「自律神経の乱れ」と聞くと、これも精神的な問題と結び付けて考える方がいます。しかし自律神経は、呼吸や血圧、体温調節、内臓の働きなどをコントロールする身体の機能です。ストレスの影響を受けることはありますが、自律神経そのものと精神的な問題は同じではありません。
もちろん、心と身体はお互いに影響し合います。しかし、
- 神経痛 = 気のせい
- 神経の問題 = 精神的な問題
- 自律神経の乱れ = 心の弱さ
と考えるのは誤解です。
世間一般では、精神的に疲れていたり落ち込んでいたりする状態を、「神経がまいっている」「神経からきている」などと表現することがあります。
こうした言い回しが昔から使われてきたこともあり、「神経」という言葉に対して、「心」や「精神」の問題を連想する方が少なくありません。
しかし、医療でいう神経は、痛みやしびれ、身体の機能に関わる重要な組織を指しており、精神そのものとは別のものです。
痛みやしびれには、筋肉や関節が原因の場合もあれば、神経が関係している場合もあります。正しく原因を理解することが、適切な治療への第一歩です。
もし説明の中で「神経」という言葉が出てきて不安になったときは、一人で悩まず遠慮なくご質問ください。言葉のイメージだけで判断せず、どの神経のことを指しているのかを正しく理解することが大切です。
身体の不調を必要以上に怖がらず、正しい知識を持って向き合っていきましょう。

