健康とこころのバランス
最近、栄養学に関するオンラインコミュニティに参加する機会がありました。
参加者の皆さんはとても熱心で、食べ物が体に与える影響について学び合いながら、より健康的な生活を目指している姿に私も刺激を受けました。
私自身も食事と体のバランスを大切にしたいと日頃から感じていたので、最初は前向きな気持ちでその場に参加していました。
ところが、しばらくその場に身を置いているうちに、ふとした違和感を覚えるようになりました。
それは「これは体に悪い」「これを食べると不調になる」といった話題が続く中で、「栄養さえ整えれば、すべての健康問題が解決する」といった、やや極端とも感じられる思想を感じることが増えてきたからです。
健康のために食事や栄養にこだわることは、もちろん悪いことではありません。実際、そうした意識の積み重ねが体調の改善につながることも多いと思います。
ただ、どこか“正しさ”に縛られていたり、自分と異なる価値観をもつ人との距離が自然と開いてしまっていたりするような空気に、少し心がざわつくことがありました。
「これが正解」「あれはダメ」といった考えが強くなりすぎると、食事がいつしか“管理”や“制限”になり、日常の楽しみや人とのつながりが薄れてしまうのではないでしょうか。
健康とは、本来、身体だけでなく心の状態も含めた“全体のバランス”であるはずです。
どんなに栄養バランスの整った食事をしていても、常に気を張っていたり、人との食事がストレスになってしまったり、自分にも他人にも厳しさばかりが前面に出てしまうようでは、むしろ“健康”から離れてしまっているように感じてしまいます。
思い返せば、私自身にも似たような時期がありました。「これは体に悪いから」と食事を必要以上に制限していた頃、外食が憂うつになり、誰かと一緒に食事を楽しむことが難しくなっていたのです。いつの間にか“食べる”という行為が、"管理"や"義務"のように感じられるようになっていました。
でも今は、もっとゆるやかに、もっと楽しく食を楽しみたいと思っています。
食事とは本来、楽しみであり、癒しであり、そして人との関わりを生むものです。
友人とB級グルメを囲んで笑い合う時間、家族で囲む食卓、旅行先で味覚を味わうひととき。そういった何気ない日常こそが、心と体の栄養になっているのだと、今は実感しています。
もちろん、栄養学を学ぶことには価値がありますし、身体にとってプラスになる選択をすることも大切です。でも、それが自分や周りを苦しめてしまうようでは、本末転倒です。
大切なのは、知識に縛られすぎないこと。
そして、完璧を目指すのではなく、「だいたいこんな感じでいいかな」と笑っていられるくらいの余白を持つこと。
こだわりすぎず、ほどよくゆるやかに。
心が喜ぶ選択を大切にしながら、日々を楽しく暮らしていく。
私にとっての健康とは、そういうバランスの中にあるような気がしています。