整骨院の施術は「カウンセリング」にも似ている⁉

整骨院で施術をしていると、「これはカウンセリングに近いな」と感じることがあります。

体の痛みを訴えて来られる方の中には、実際にケガや姿勢の問題など明確な原因がある方もいれば、「検査では異常がないけれど、なんとなく痛い」「ずっと張っている感じがする」という方も多くいます。
そうした症状の背景には、身体的な負担だけでなく、ストレスや不安、緊張といった“心の要素”が関係していることが少なくありません。

人間の体は、心と密接につながっています。

たとえば、強いストレスを感じると自律神経のバランスが崩れ、筋肉がこわばったり、血流が悪くなったりします。
逆に、安心感や信頼感を得られると、副交感神経が優位になり、体がリラックスし、自然治癒力が高まります。
つまり、心理的な「安心」が身体の回復を後押ししてくれるのです。

実際、施術の現場でも「話を聞いてもらえただけで肩が軽くなった」と言われることがあります。
施術そのものも大切ですが、それと同じくらい「相手が自分を理解してくれる」という感覚が、症状の改善に大きく影響していると感じます。

人は誰でも、痛みや不調を抱えているときに孤独を感じやすくなります。だからこそ、安心できる環境や寄り添ってくれる存在があると、心がほっと緩み、体も自然と変化していくのです。

整骨院の施術には、筋肉や関節の調整、血流改善、神経へのアプローチなど、科学的な側面があります。
しかし同時に、患者さんとの対話の中で得られる「心理的サポート」もまた、施術の一部だといえるでしょう。
痛みの説明を丁寧に行い、不安を和らげることで、脳が「もう大丈夫」と判断し、痛みの感じ方そのものが変わるケースもあります。
この現象は「ゲートコントロール理論」と呼ばれ、心理状態が痛みの知覚に影響を与えることが知られています。

また、信頼関係が築かれていると、施術中の筋肉の反応も変わります。
緊張している状態では筋肉がこわばり、施術がうまく入らないことがありますが、安心していると体が素直に反応し、治療効果が高まることがあります。

まさに「心がほぐれると、体もほぐれる」ということです。

整骨院は、単に体の痛みを取る場所ではなく、心と体の両面を整える場でもあります。
患者さんが抱えている不安や悩みに耳を傾け、安心できる空間をつくることで、体の回復力は大きく引き出されます。
施術を通して「話してよかった」「ここに来るとホッとする」と感じていただけるように、これからも心のケアを大切にしていきたいと思います。